大宮部屋ブログ

VR大好き大宮部屋です

ランニング歴6ヶ月 初のフルマラソン(かすみがうらマラソン2024)

大宮部屋の大宮です。お世話になっております。
4月21日に開催された「かすみがうらマラソン」に出場してどうにか完走できました。
初マラソンの洗礼を、苦しくも楽しく浴びてきました。
記録証がダウンロードできたのでぺたり。

グロスタイム4時間51分3秒、ネットタイム4時間49分49秒

記録はおよそ4時間50分ということで、目標のサブ5(あわよくばサブ4.5)、それが無理でもまあ完走(6時間5分制限)はいけるでしょと思って立てていた目標達成ができたので、とても満足です。
それと、最も大事な目標として『怪我をしない』というところも達成できているので、それが何よりも良かったです。

フルマラソンに向けての練習

今年の正月に「11月にフルマラソン完走」を目標として立てたわけですが、1月中旬ぐらいの順調に距離を伸ばしていた頃に「完走だけなら今シーズン中、つまり4月でもいけるのでは?」と思った出来心でのエントリーでした。
タイムを持っている状態と持っていない状態とでは、秋の大会に臨むときの気持ちも違うだろうなと思ったりなんかしたり。

焦ることはないのではとか、まだ早いのではとか、出場してしまったら結局無理して怪我に繋がるのではとか、そういうものを抱えながらでもあったので、あまり人には話さず(止められたり心配されたりすると心が揺らぐ)、まあとても無理だったらDNSすればいいかという気持ちで過ごしました。

2月23日のハーフを悪条件でもわりと楽に走り切れたことでかなり自信がつき、サブ5を真剣に考えるようになりました。とはいえ怪我しないことと完走することが最も大事。

ランニング歴半年の間に最も大事にしていた練習は、全身および下半身の柔軟です。
https://www.youtube.com/watch?v=JdPVMVfmdzc
怪我防止と、股関節をちゃんと使った走り方ができるようになる基礎です。
180日中175日ぐらいやっています。

下りの攻略はだいぶ手こずっていたのですが、下記の動画でかなり助かりました。
https://www.youtube.com/watch?v=By3ihSqYgto&t=530s
普通に推奨されているやり方だと、加速しすぎて心肺も脚の回転も追いつかなくなってしまう。初心者で、まあまあの歳の自分にはもっと玄人目線ではない方法があるはずだと思っていたところで辿り着いた動画でした。
小股はともかく、すり足は平地でやると反発ももらいづらいしつま先が詰まりがちになってしまうので良くないかと思ってたけれども、こと急な下りに関してはこれがバッチリはまりました。

ロング走(30kmぐらい)に関しては3月に1回やっておきたかったのですが、多忙や気象で実現しませんでした。とはいえ、そもそもの月間走行距離がさほどでもない、初マラソンチャレンジのランナーが無理にやるものでもないらしいので、まあ別にいいかという感じで過ごしました。

数日前~当日朝

練習調整と疲労抜き、カーボローディングは上手くいっていたと思います。カフェインは完全デカフェにはできず、3月上旬からの忙しさで増えていたカフェイン量を減らすに留まりました。
寝つきの悪さも維持されてしまっていたものの、数日前からどうにか無理矢理朝型にもっていきました。

前日夜に花粉症用の点鼻薬を差した際、右鼻に突っ込みすぎて出血。鼻血持ちの自分は焦りました。血はすぐに止まり、出血箇所もいつもの大量出血箇所ではなかったので、レース中に鼻血を出すことはないと言い聞かせて眠りました。結局、一時間ぐらい途中覚醒したものの、トータル7時間は寝られたのでOK。

スタートまで

朝食は米飯中心に消化の良い物を摂りました。
便が出なかったのが気になったけど、これは現地近くもしくは現地トイレで出すしかないと思って開き直りです。

土浦の駐車場までは交通状況バッファを見て、妥当な時刻よりも1時間ほど早く自宅を出発しました。結局さらに早く着いてしまい、ラジオ体操でもしながらかなり待つ羽目に陥りました。

臨時駐車場のシャトルバス降車場から会場まで1kmぐらい歩いたのですが、通りがかったお店で「XR・VR・unity案件おまかせください」的な貼り紙が出されていた「テクノロジーカフェシンギュラリティ」というところがめっちゃ気になってました。
http://singularity-cafe.com/
帰ってから調べたんだけど、カフェ野ゾンビ子さんを運営してた会社さんだったんだ。土浦にあったんだね。私自身は面識ないけれど。

今回のフルマラソンは募集14000に対して9000人ぐらいしか集まらなかったみたいですが、それでもこれまでの私にとっては超大規模の大会です。
会場ではJAや地元企業の方々の屋台などが並び、仮装してたり裸足だったりするランナーもいたりと、これが大規模大会ってものなんだとワクワクしてきました。

表彰台。私がゴールする頃にはとっくに表彰は終わっている。

会場では小粒ながらどうにか排便にも成功し、荷物預けなどの手続きもスムーズだったのですが、唯一の不安が朝食から時間が経ちすぎていてスタート位置に並んだ時点で空腹だったことです。四股を踏んで紛らわせました。

装備

天気は曇り(スタート直前にほんの少しだけ雨が降ったけど)で、日射しはほぼないと見て、予定していたアームカバーは預かり荷物の中に入れてしまいました。
何かの拍子に鬱陶しくなってしまったときにポケットに入れると気になってしまうかもしれないし、捨てるのは心理的にいやなので。これがたぶん失敗で、後半に日射が出た際に腕への日焼けダメージが来ました。
キャップやサングラスはいまだに使いこなせていないので今回もなし。
ランニングパンツには汗ふき用に厚手のハンカチを。そしていつものウエストポーチ。中身は
・貴重品のカード類と現金
・車と自宅の鍵
・ケースから剥がしたスマホ
・メダリストの補給ジェル×4袋
・メダリストのアミノダイレクト5500×1袋
芍薬甘草湯顆粒×2本
・塩タブレット×6個
・頓用で処方されている安定剤×2錠
というところです。結局見事に全部使いました。さらにエイドに頼っているので、マラソンは一人ではできないということがよく分かります。

スタート~前半

私はウェーブスタート方式の一番後ろのブロック、9時55分の第3ウェーブスタートです。周囲はどっちを向いても人だらけだったのですけど、みんな接触しないように気をつけた間隔を保っていてくれて助かりました。

昨年12月の富岡の時から思っていたのですが、今回は近くに居るランナーの存在がより強く感じられます。一緒に走る、そしておそらくは一緒に苦しむ仲間であり、同じイベントを楽しみに来ている仲間なのです。
そう、市民ランナーは競技者と違って順位やタイムをそこらへんの人と競わない。競う界隈もあるのかもしれんけど、まあそれは別に私にとっては知ったことではないのです。競う相手はただ一人。自分です。競うタイムも自己ベストです。

スタートロスは1分24秒。早めに整列したので第3ウェーブの中でもわりと前の方に居ることができたみたいです。ガーミンのスタートボタンはスタート地点の150mぐらい手前で押してしまったようなのですが、ゴール時にはこの差が440mになっていました。
前半は特に、沿道の人とハイタッチとかやりたくて最短距離を走っていなかったのがこの差に出たみたいです。まあ全然どうってことない話です。

周囲のペースは聞き及んでいたほど遅くもなく(これもブロックの前の方に居たおかげかも)、選手の渋滞で自由に走りづらいという状況も3.5km地点あたりで解消しました。
最初は混雑避けのために左端を走ろうかと思っていたのですが、スタート地点に近い広い車道は外に向けてバンクがついているので、最初のうちは脚の温存のためになるべく真ん中を走りました。

私はマラソン初参加で余裕もあまりない身なのですけど、ファンランといって楽しむために走る人などが周囲に非常に多かったのが印象的でした。
バルーンアートを作って自分のかぶり物にくっつけていくパフォーマンスをしながら走ってる選手のおじさんが凄かったですね。

5km過ぎてくると走路の選び方も自由なぐらい他の選手達との間隔も空いて、沿道からの声援にも目一杯応えられるようになってきました。
人によることだろうけれど、私はわりと声を出した方が疲労が和らいだり気合いが入ったりするので、積極的に応えていました。
特に中学校の前なんかで、日曜日に学校まで来て応援に出てきてくれている子たちがハイタッチ求めてるなんて状況は嬉しくてたまりません。ありがとーって言いながらハイタッチしました。手がベタベタしててすまん。さっきエイドでバナナ食ったばっかりやねん。

10km地点に有森裕子さんがいました。あの有森裕子さん本物ですよ。長距離走とか全然詳しくない私でもめっちゃ覚えてますよ。あのアトランタ五輪の後のコメント。
大会のパンフに載ってたような気はしたけど、まさかコースの中央に立って走ってくる選手みんなとハイタッチしてくれるとは。最高に元気が出ました。

さて、自分の作戦としては沿道や運営の工夫から力をもらうということの他に、エイドでの給水は必ず全部歩いて取る。慌てず、止まってでも取る。自分のポーチの内容物も、どこでどれを使うかを決めて、補給を怠らない。
走り方は傾斜に対して素直に、登りはペース落としてよし、下りは速めてよし、急な下りは加速しすぎないようにすり足でよし、としました。

結果、2時間12分台で折り返し地点を迎え、なおかつだいぶ脚を残しているという状況を得ることができました。
ペースはキロ6分15秒。後半の方が平坦で軽い追い風、脚はまだまだ余裕で走れると言っている。もちろん疲労は出るだろうけど、これはワンチャン、サブ4.5(キロ6分23秒)があるのではないかと、そう思って霞ヶ浦の湖畔への道を快調に駆けていきました。
この後の地獄を知ることもなく。

折り返し~ゴール

23km地点の歩崎公園エイドでしっかりと補給をしました。アミノ酸系統の顆粒だとか、カフェイン入りのジェルもここで投入しました。
前半とはだいぶ景色の違う、田んぼとレンコン畑の間を走ります。ここで日射しが少し現れ、気温が上昇し始めましたが、薄曇りなのは変わらず、十分許容範囲でした。ところが……!

体調の異変は27km近辺。スタートからちょうど3時間ぴったりのところでした。
下半身の筋肉が、一斉に筋肉痛みたいになったのです。それこそ、普通に筋トレしたら翌日や翌々日にやってくるような筋肉痛が、運動の真っ最中に前乗りでやってきた感覚です。
前半から補給も走りも気をつけてきた。ポカリスエットアミノ酸も塩タブレットも摂ってきた。それでも、こんなことが起きるのかと。
関節や腱を傷めた感覚ではないのです。広い範囲の筋肉がずっしりと筋肉痛。なるほど、これがいわゆる30kmの壁というやつか。私は27kmで来たけど。
脚が重くなっても腕振りをうまくやれば大丈夫なはず……ところが、腕も肩も背筋も腹筋も、合わせて全て筋肉痛なのです。
周囲では既に歩いている人、止まってしまっている人、側道にうずくまる人(これはたぶん救護対象)、電柱に手をついて脚を伸ばす人、ガードレールに片脚を乗せて腿裏を伸ばす人がそこかしこに居ます。

そうだ、脚攣りに気をつけないとと思って次のエイドで芍薬甘草湯を水で流し込みます。ミネラルも大事なので塩タブレットと、バナナをもりもり食べます。もうここからのエイドは止まって補給です。
水を顔面に浴びて手ぬぐいでこすると、もの凄い汗の味がします。

「エイドまで500m」の表記からエイドまでが遠い。結局歩きを入れたり、ガードレールを利用してレンコン畑を拝みながら腿裏伸ばしをしたり、レンコン美味しそうだなとか景色が綺麗だなとか思いながら気持ちを整えたりしました。
ガーミンの記録では停止と歩きは合計16分程度で、その半分がエイドでの時間だとするとエイド以外の場所で歩いていたのはせいぜい8分。
それでも「走る」という動作ができないというもどかしさはかなりのものでした。

無常にもキロ6分23秒をずるずると割り込んで大きくオーバーしていく「平均ペース」表記。いや、それよりもゴールまでにかかる推定時間を暗算して、えっこんな苦しい時間をあとこんなに過ごさないとだめなの?という気持ちがのしかかってきます。
周囲が暑い暑いと言い出します。私も暑さで汗が出ていたのですが、むしろ寒気がします。風邪かもしれない。風邪までいかなくても体力の奪われ具合の実感がすごいことになってきます。
この27~37kmの区間が最も苦しくて、これこそがマラソンなんだなということを思い知る時間帯でした。

「苦しみ」って色んなものがあって、それぞれ違った文脈における「苦しみ」は全くもって異質なものではあるのだけど、目の前の苦しみにだけ集中すれば良い苦しみによって一種のトランス状態に入ることができれば、あくまで私の場合ではあるけれども、記憶や思索を伴う苦しみが無理矢理同じ和紙のような平面上にセットされて、いま目の前にある濃い絵の具の色で表現される苦しみが侵蝕していって塗りつぶしてくれるような、そんな現在が過去や未来を侵蝕するヘンテコリンな楽しさと快感がある。
ハイな状況ってこうやって作られるのだろうか。いや、ハイになる物質が脳内で出た結果として自分の中で利用されているだけなのだろうか。
不思議なのだけれど、とにかく苦しんで走って歩いてそして「楽しい!」と声を上げていました。

37km地点あたりで沿道の応援がぐっと増えました。
我に返ると、キロ7分程度のペースながら走ることができています。エイドでこそきっちり歩いてきっちりバナナ補給をしたけれど、残りは5.2km。今のペースで走り切れればサブ5は余裕です。
沿道では、先頭のランナーが通過してから2時間以上も経とうというのに、ずっと応援してくれている人たちが大勢いました。「ありがとう!」と叫ぶと、前半の時みたいな力が戻ってきました。
私と同じペースで走っている人、歩いている人、足を引きずってる人(大丈夫だったのか心配)、様々です。らんなちゃんもこのへんにいました。
前半で私を抜き去っていったちっこいJCに追いついて大人の力を見せようとしたのですが、追い越しきれずに突き放されました。まじか。

スパートなんてものは当然無理だけど、そのまま歩かず止まらず粘りきってゴール。
ゴール地点を担当しているスタッフさんから温かい声かけをもらって、参加賞のお菓子と完走賞の醤油をもらって、バナナもたくさんもらって満足でした。

帰り

シャトルバス乗降場なんでこんなに離れてるんだと思いながらフラフラと歩いてたのだけど、考えてみれば当たり前だ。マラソン大会で交通規制されてるから。自分らが原因だったわ。
車に乗ってしまえばあとは安心。つくばで温泉に入って、高速に乗って、途中渋滞が酷かったけど前にいた車がかっこいいポルシェだったので眼福でよかった。
帰ったらステーキ焼いてワインを開けるつもりだったのだけど、体へのダメージが想像以上に大きくてアルコールは無理そうでした。米にしました。

結果と分析

ガーミンのスクショを貼っておきます。


フルマラソンにもなるとラップのスクショが長大になる


前半はおおむねキロ6分ぐらいで走っていて、スタートロスと念入りエイドが時間ロスの箇所。
後半はキロ7分から7分30秒程度で走っていて、念入りエイドと、歩いたりストレッチしたところが時間ロスの箇所。
走っているかぎりは186spm程度のピッチは保てていて(下り坂は200超えになるのはいつものこと)、フォームの大崩れはしなかったという感覚通りかと思う。平均が落ちているのは歩いたせい。
上出来です! 上出来!
来シーズンはもう少し強くなってきます。競争相手は今回の自分です。

次の目標は6月1日に千葉の東京ドイツ村で開催されるスパルタンレースです。
練習はロード以外にトレランを挟みつつ、少し増量してもいいから筋肉を増やします。