大宮部屋ブログ

VR大好き大宮部屋です

光で覚醒する日々を始めた

大宮部屋の大宮です。お世話になっております。

目覚まし時計といえば音が鳴るものと大抵は相場が決まっているわけですが、どうにもこの「叩き起こされる」感が年々きつく感じるようになっておりました。
これまで5年間ぐらい1000円のデジタル目覚まし時計を使っていて、辛い朝も辛くない朝もこいつのでかい電子音と5分スヌーズに起こされ、暗い部屋の中をフラフラしながら止めに行く。
そんな風にこの子とともに生きてきたわけです。安くて丈夫なのでこの時計もいい子なんだけど。なかなかいつもシャキっとはいかない。

というわけで手に入れたのが光目覚まし時計!

光で起きるやつは憧れてたんですよね。よく朝起きたらカーテンを開けて云々とは言われるけれど、まずもって窓が西にあるし、体を起こせないぐらいの状態から徐々に覚醒するとなるとカーテンに手が伸びない。
一応光療法を謳った3万ぐらいする高いやつも検討したものの、大きさや置き場や値段や交換部品の高さで断念しました。
今回購入したのは、絵描きさんが使うLED製トレス台みたいなのに簡易スタンドがついた格好の照明です。目覚まし時計だから当然タイマー機能があるし、光だけで起きられなかったら音も鳴らしてくれる。

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4段階調光、徐々に明るくなるモードや音による目覚ましも実装されている

目視するとびっくりするぐらい明るいですね。照度は12cm距離で12000ルクス(172.8カンデラ)とあります。
いや、12cmは数字を大きく見せるために近寄りすぎてるやろ。でも換算サイトで計算したところ、50cm離れても700ルクスあるようなのでやっぱり明るい。
蛍光灯等でルーメンに慣れてると分かりづらいけど、類似品と比較すればスペックは測れます。

操作はボタンが少なすぎて長押しを駆使しまくる必要があったりして全然ユーザーフレンドリーじゃないんだけど、5000円ちょっとでこれが手に入るのです。文句はいえない。

そして3日経ってみての感想はというと、以外と快適でした。ハズレ引いてもめげないぐらいの気持ちだった割には全然使える。

枕元から20cmぐらい離した丸椅子の上に載せてるのだけど、このぐらいの距離ならさほど減衰はないし、固定の難しさも考えなくて済んだし、万一寝相で落として割っても諦めがつく範囲かなと思います。
今のところ音がうるさく鳴り始めるよりも前に光で目を覚ますことに成功しています。

最後にちゃぶ台返しみたいなことを言うと、部屋の照明を明るくてタイマーで制御できるタイプに付け替えれば実は要らないですね。
でもまあ古いものがソケット無しの直付けでべったりくっついているのでなかなか交換ともいかないという。

オンライン日本酒試飲会for玉乃光酒造 企画を駆け抜けて

大宮です。お世話になっております。

9月18日に行われました「オンライン日本酒試飲会for玉乃光酒造」は大きなトラブルもなく成功裏に終わり、本当にほっとしました。
私の担当はワールドではあったのですが、ワールドを作ったり調整したりするだけではなく、企画進行そのものの話し合いにも積極的に参加していました。
スタッフとして力にならねばという気持ちだけではなく、こういう立場にあった方がワールドへのフィードバックを細かく的確にできるだろうという考えがあってのことです。
といってもまあ運営人数少ないので全員が積極的に自分の出来ることをやっていくのは当然ではあるのですが(そして実際みんなちゃんとやってくれました)

8月中はともかく9月に入ってからは基底現実側のよく分からない事象に時間と脳を削られたりしつつ進めていましたので、正直言ってだいぶ大変でした。
イベント終えてみての充実感・充足感はそれに勝るものがあったので、またやりたいですね。
何も私たちだけではなく、今回の話が広まって同様の試飲会が私の知り得ないような場所でも開催されるようであれば、上手い具合に先鞭を付けられたぞという気持ちになれます。

イベントの準備から終えるまでを時系列で振り返ってみたいと思います。

8月2日
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たるとさんに呼び出された日 校舎裏じゃなくてよかった

柳さんから今回の話をもらった日です。コロナで外食、特に居酒屋関連が壊滅的打撃を受けている昨今、スーパーでも見かける玉乃光クラスとなると逆に宅飲み需要に強いのかと思いきや、これがそうでもないらしいです。

最大手さんになると違うのかもしれないのだけれど、宅飲みのラインナップに日本酒はあまり食い込まないみたいなのです。そういえば1年前にNakaさんに教わるまで私も日本酒あまり飲まなかった。
ビールや梅酒や甲類焼酎(キンミヤのソーダ割りとかいいよね)だって美味しいものはいっぱいあって、良い飲み方すれば良いお酒なんだけれど、日本酒はある程度知識とか飲み慣れとかそういったところを踏まないとなかなか自分に合ったものにたどり着けず、言ってしまえば敷居が高い。

そんなわけで柳さんの挨拶にもありましたが、VR民への日本酒の認知と、日本酒業界へのVRアピールと、両方に繋がればというそういう思いが発端になってのイベントでした。社会情勢にどれほど太刀打ちできるかは分からないところですけど、とりあえずできることはやってみようというのは良いことです。
もちろん私としては参加したみんなに楽しんでもらうのが第一の目標で、そこを達成できなければ開催理念も何もあったもんじゃないと思ってやっていました。

VRCオンライン試飲会に白羽の矢が立ったのはこれまでの開催実績を買われたからですね。
このスタッフを選んだのは柳さんにとっても良かったと胸を張って言えますよ。たるとさん真面目だし、Nakaさん優秀だし、早雲さんの酒知識半端ないし、私はたるとさんやNakaさんの為なら惜しみなく骨折りますし。

8月18日の打ち合わせ
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8月18日の打ち合わせ

商品発表とイベント告知(8月22日)の直前打ち合わせです。たるとさんは告知期間の短さをかなり気にしていました。
イベント参加用に商品を入手してもらって、参加者名簿を作ってという時間を考えると、確かに短いかなというのは感じていました。特に話が広まりきらないうちに開催直前に至ってしまうのではないかというのは私も心配していました。
VRC内で話しに行ける範囲に飲みに行って、ごり押しみたいになってウザくならないように今回のイベントを紹介してみたいな、そういうことを考えていたのですが、柳さんの頑張りはその辺りを軽々超えて行きましたね。あちこちポスター貼ってもらったり、バーチャルライフマガジンさんに載せてもらったりと、ああ広報かくあるべしというところです。

商品セットの安さにもビビったのですが、玉乃光酒造の営業さんの話を聞きながらというドでかい付加価値がついてこれですから、話題さえ広がればあとは買う人は買うでしょう。残るはVRC民∩日本酒民の人数がどんなもんかというところです。
私がまっさらな状態でこの話を聞いたなら間違いなく飛びついただろうというところですが、結果は皆さん同じように思ってくれたみたいで、当初3週間で30セット売れる予定が9日で50セット売れるという速さでした。
二階堂さんは見た瞬間に、インプレッション/VR飲酒人口比からして売り切れをすぐに予感したらしいです。さすがあちこちで飲んだり飲みイベント開いたりしてるだけあります。

8月18日同日、ワールド負荷テスト
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負荷テスト 当初は35人入って重くないところを目指しました

3週間で30セット売れる想定で参加者がスタッフ含めて36人(レムリアさんはその後仕事で来られなくなったのでスタッフは5人に減る)が入って、参加者のアバターを制限しなくても大丈夫というところを目指しました。

実際は50人参加のスタッフ含めて55人になったので、二部制という形を取ることになりました。
全員にアバターをmedium以上のパフォーマンスにしてもらうよう協力を仰いで、ピックアップアイテムをもっと減らし、屋外の水面をやめるとかその辺りに取り組めば、55人いけたかもしれません。ですが、この辺りは楽しさや手軽さとのトレードオフになってきてしまいます。
販売アバターのほとんどはインポートした時点でpoorですからね。DynamicBone外すぐらいならともかく、SkinnedMeshまとめるとかその辺りの方法のハードルって、覚える手間や時間的にエンジョイ勢に強いるのは申し訳ないし、我々ですら知識的に怪しかったりしますし。
それに何より、参加者同士が互いに姿を見たり、物を持って見せ合ったりして楽しめるVRC飲み会の雰囲気を壊さないようにした上でやっていくことで、来てくれた玉乃光の方にも「VRで飲むのはこういうことか」という感想を持ってもらいたいという気持ちでした。
VRで楽しく飲んでる連中いるぞ」って話が広まるとき、アバターがロボばっかりだったというのではちょっと悲しいですから。
これが100人規模の試飲会になると、飲み会的な要素を外して、clusterで参加者がアバター表示も発声もできない形でやるのも良いかもしれないのですけど、それは今回とは趣旨が異なります。でもそういうのも趣旨によっては全然アリでしょう。

8月20日の打ち合わせ

私はQuestでINしていたためスクショはありません。
玉乃光酒造の営業さんのVR初体験を兼ねて、現ワールドから物を削りまくってシェーダーを当て直してQuest対応化したワールドを見てもらいつつスタッフ顔合わせをやりました。
関西側の場所の都合で先方はQuestでのINになったので、残りスタッフの中でQuestを持っている私が会場とか「瓶を持ってこうやって見せられるんですよ」的なことをやりました。

印象的だったのは、入口から壇上へ移動するときにすごく酔うと言われたことでしょうか。そうでした。コントローラーでの移動は酔うんでした。
私は元々酔いに強かったし、1000時間以上プレイしてる人間だから忘れがちだけど、VR初体験でVRChatのワールドをグイグイ移動するのは確かに人によってはかなり酔います。
これをやっておいたことで、司会進行による補助プランをはじめ、当日の動き立ち回りの対策を立てることができました。

あと、可愛い女の子のアバターからオッサンの声がするのも違和感あったようで、ああそういえばそれもそうか……そうだよなあ。
私はvirtual(実質的)には美少女なんですけれど、ちょっと基底現実の不具合があるので仕方ないね。

8月22日
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ラベルデータもらって貼った

1989以前爆誕会のアフターで自然と打ち合わせみたいな流れに。テクスチャデータを頂いたのでそれを瓶のアセットのラベル差し替えとして貼ったところ。
テクスチャさえあれば瓶に貼る程度の労力はなんてことないです。たるとさんは「大宮さんの労力が」と結構気にしてくれてた。
私は「やれと言われてできるならやるし、難しければ無理と言うよ」ってのは前から言ってるんですけどね。
でもまあ、自分以外の人間の労力って想像しづらいものだし、人の労力を推し量って言動に注意するのはきっと正解で、そして大事なことなんだよね。
今回の企画を通じては、その辺りの遠慮具合をほどいてもらうことに少し成功した感はあります。

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非減衰マイク 一人ではテストできない

音声非減衰設定のマイクについては当初はこの上で酒蔵さんに話してもらう予定だったのだけど、声がよく聞こえても方向が分かりづらいとうるささで気持ち悪くなるのではという意見を容れてもらって、結局インフォメーション的にアナウンスするときだけ使い、参加者さんにはステージ前に集ってもらう形をとりました。

9月5日の打ち合わせ
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30人想定が50人になって、タイムスケジュール等を話し合ってるところ

この日は二部制確定の後、当日のスタッフの動きを話し合って確定していったり、タイムスケジュールの見直しをしていました。
打ち合わせの後は参加者の人たちも下見的にJoinできるようにして、質問を受けたり、VRChat分からん勢がいれば初心者案内をという日でした。

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初心者案内

嬉しいことに、VRChat体験ほぼ無しの参加者さんも来てくれました。
今回の飲みのためにご友人からVR機器を借り、グラボGTX760で参加という猛者です。PC知識についてはむしろ詳しいぐらいの人だったので、軽くする工夫についての話をしてる間もちゃんと通じていてほっとしました。
当日も無事に参加してもらえてよかった。

9月6日ワールドチェック
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ここZファイティングしてる

ワールド容量が変に増えたり、エラーがたくさん出たり(例の無視して大丈夫なやつ)、場所によって画像が揺れたり(私の環境のせいだった)、色々不安でレムリア先生を呼び出した日。
何にせよチェック頼んで正解でした。窓のシェーダーとか、Zファイティング見つけたとか、改善点ありました。

9月16日打ち合わせ
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早雲さん(一部)、たるとさん(二部)は、そこのアイテムを使って酒蔵さんのお話を補助

開催前々日。司会進行の流れと、それに合わせたスタッフの動きなどの確認。
ワールドはこの日決めた微修正までで、あとは維持となりました。といっても前日まで更新してたわけですが。

9月18日イベント当日
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バナナのナス、バナナス

バナナスでとりあえず掴みはオッケー。

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試飲会パートの集まり方

VR酔い対策もあるので酒蔵さんには基本的に壇上から皆を見つつ動かない感じで。
VRHMD被るの3回目でしかも数十分程度ずつといった割には、手を動かしたり物を持って説明したりというところもかなり出来ていて、何より話が面白くてこれは流石だなあと思いました。
場に対する度胸の凄さってやつなのかなあ。プロは本当にすごい。

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顔で笑って心は震えて

これはスタッフ紹介で自分で何言ってるのか分からん感じになりつつ、とりあえずろくろを回してる私。

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ないさすさんの酒米シャツすごい
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ianwanさんは今回のお酒を自分でモデリングして持ち込み

私の仕事は当日までが主だったので、当日はむしろ参加者の気合いの入りように感心させられる時間でした。
ないさすさんのお猪口柄・酒米シャツ。ianwanさんは玉乃光・酒魂をモデリング(テクスチャも自作イラスト)して持ち込み。
他にも日本酒ガチ勢がたくさん居て、酒蔵さんのお話が終わってもなお楽しめるイベントになりました。

コラボはどうだか分かりませんが、通常回の日本酒試飲会は今後も続くので次回またよろしくお願いします(開催日は未定)

大宮部屋のオフィシャルサイトができました

大宮部屋のオフィシャルサイトができました

ウェブサイト
バーチャル相撲部屋 大宮部屋オフィシャルサイト
ができました。
これで当ブログのこの記事はお払い箱です。

私はというと、ウェブサイトといえばHTMLを手書き(tttEditorってのが便利だったの!)してtableでレイアウト整えてCGI掲示板置いてFTPでアップロードしてパーミッションは755と644でどうたらこうたら……といった感じで、cssなにそれ美味しいのっていう時代とレベルの人間だったわけですが、WIXのおかげでそこそこ見た目がちゃんとした現代らしいウェブサイトを作ることができました。
試飲会のページWIX製。きれいですよね。

あと、会社の人が社のメイン事業とは違うページをWIXで作ってたりして、それで今回やってみようかというのもありました。
「わしらの世代の人間ってこういうの嫌う傾向あるやん? 作るところからGUIだと融通効かんのじゃないかとか、ソース見て分からんのも気持ち悪いし、古のネット民たるものCUIでやったるわいみたいな意地もあったりとか。せやけどまあ、こういうサービスも進歩してて意地だけじゃどうにもならんな」なんて同僚の言葉はまあまあなかなか効きましたね。

WIXも不満点少しはありますよ。用語が独特でとっかかりがやりづらかったり、探してる機能の場所が分かりづらかったり、ヘルプが雑だったり。レイアウトいじったらすぐにずれたり。
有料プラン登録とドメイン取ってもらうのとアクセス解析が抱き合わせになってたり。まあそれもさほど高くはないんですけどね。
ninjaみたいな外部ツールでアクセス解析できんのかな。

ポートフォリオサイトに使えるよ

大宮部屋は私の相撲好きアピールのためのお遊びなんだけど、創作やらイベントやらをやる人にとってはこれがもっともっと有益な使い方ができると分かると思います。
モデラーさんやエンジニアさんは自分の実績をまとめたポートフォリオサイトとして、あるいは仕事の受付窓口として。就職活動や転職活動用にも分かってもらいやすくなるのではないでしょうか。

Twitterの方がVRChatterへのリーチ力は強いけれど、140文字制限と画像4枚制限、それに何よりログが流れるのは致命的です。
YouTubeは外部へのリーチ力は強いけれど、動画であることが前提なので説明文にプロフィール書いてもあんまり読んでもらえません。
ツイプラやTumblrやブログには1ページにプロフを書くことはできるけど、コンテンツを分類整理して載せると途端に長くなったり散逸します。
pixivやDLsiteのやつはどうなんだろう。ブログ機能は確認してるけど、ちょっと触ったことないので分からないです。

何せ無料なんで、ポートフォリオサイト作りで迷ってる人はWIXやってみてもいいかも。今のところ広告も小さいし。
ていうかWIX自身の広告だけで外部からはまだ広告入れてない? え、実は凄いのでは! 有料登録者の課金で回せてるのかしら。
本当はちゃんとしたウェブデザイン用のソフトを使うのがいいのかもしれませんが、何せ時間は有限なので、ウェブデザインする力をアピールしたいわけでもなければこういうのでいいんじゃないかと思います。

オンライン試飲会の会場をアップグレードした話

焼酎試飲会おつかれさまでした
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第3回VRC試飲会 オンライン焼酎試飲会

太古の黒うさぎも孤独な天使も美味しかったです。


レムリア先生

さて、今回はこの試飲会ワールド制作についての話を書いてみようと思います。

きっかけはNakaさんとレムリアさんの距離感が近くなったこと。そして私とレムリアさんの話す機会が増えたことでした。
1989年以前爆誕会の運営補佐(主にワールド制作のアドバイザー)としてレムリアさんが入ってくれた時、爆誕会ワールドがアップグレードされるのかなという予想とは別に、私の中ではピンチとチャンスが1つずつ生まれていました。

ピンチというのは、オンライン試飲会のためのワールド制作から私が降りるべきではないかと思ってしまったことです。
近しい人々には周知のことですが、レムリアさんと私とではワールド制作全般に関する腕が違いすぎます。
レムリアさんはもう隅から隅まで優しい人で、私のことも色々と褒めてくれるのですけど、周囲がレムリアさんに何を期待して私やレムリアさんをどう扱うかはまた別の話。
正直ここで私が「もし余裕があるようでしたら、レムリアさんにお願いします」と言ってしまえば、軽くてきれいで雰囲気も良い試飲会用ワールドが短期間で出来上がっていたのだと思います。

チャンスというのは、自らが作っているイベント用ワールドを叩き台として、身近に堂々と教えを請える先生を得られるかもしれないということです。
心理的な安全を得た状態で、書籍や動画や記事だけでは難しかったこと(あるいは探しきれなかったこと)も尋ねられて、自分の腕を上げることができる機会。これはまさに大きなチャンスです。

チャンスの側を得るには、はっきりと意思表示することが必要です。
レムリアさんと私と某組長2名が揃っている場で私の方から「いま試飲会ワールドの改善をやろうとしている。甘えるようで悪いけれど添削してダメだししてほしい」旨を伝えました。
某T組長からは「大宮さんにずっと任せるの悪いなと思ってて、次も任せていいのか考えあぐねていたんだけど」(←言い方に気づかいが出来ていてえらい)とのことでしたが、私は「それについては私がやりたいです。やらせてください」と機先を制しました。
チャンスの項目に挙げた自らの技術向上が一番の理由ではありますが、最初の試飲会の折に「私がやりますよ」と手を挙げた以上は、私が面倒を見たいというプライドも多少ありました。

そして無事、第3回試飲会(焼酎試飲会)に向けたワールドリニューアルが始まったのでした。
いや、日常的にワールドをガンガン作る人からすると一大プロジェクトみたいな言い方するのは笑っちゃうかもしれないのだけど、覚えの悪いおじさんがこうやって前向きになるのってなかなか大変なんですよ。
そして付き合って色々教えてくれたレムリア先生本当にありがとうね。礼はいずれ。ほんとに。
現地を見ながら口頭だけではなくスクショとか参考URLとかまで貼って教えてもらい、想像以上に質の高い講義になってしまって恐縮なのですが、傍から見ていたNakaさんも新しい知見を得られて助かったらしいので、これでよかったということで。

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レムリア先生
具体的な改善点

・屋内構造の改善
実は狭い。2~3グループに人が分かれた場合、声がある程度混ざる。
対応策として建物の広さを2倍にした(2個並べて間の壁を抜いて柱の位置などを調整した。実はけっこう大変)

・全体の導線
スポーン地点からメイン会場までたまり場を作らないようにした。
スポーン方向は、いきなり人混みが見えないように90度回した。
立体構造を廃止してテラスに人が出やすいようにした(結局テラスまで人は出てくれなかったのだけど、残したかったところなので致し方なし)

・画像をplaneやquadではなくspriteに
全く知らなかった。これでmaterialが節約できるなんて有益情報すぎる。

・対象オブジェクトによってレイヤ分けして別々のライトを当てる
みんな自分大好き。自分がきれいに明るく見えてほしい。
アバターやピックアップはintensityが1のdirectional lightを当てて、暗い屋外用のdirectional lightと完全に分離した。
(リアルタイムライトは元から使っていない)

・light probe
これまで何もしてなかった。敷き詰めるだけで屋内のオブジェクトの見栄えがこれほど変わるとは思わなかった。
補助ツールについての情報もありがたかった。

・ライトマップの圧縮
「これがライトマップというやつね」レベルだったので、テクスチャ同様に圧縮できて容量削減できるということを知らなかった。

・hierarchy上で使わないオブジェクトは「Editor Only」にする
非アクティブ状態でも容量を食うとは知らなかった。このおかげで容量がだいぶ減った。

・uGUIメニューを導入してBGM音量と水面On/Off切り替えを実装
これはNakaさんのマネをしただけ。

結果
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広くなった会場

イベントは20人規模だったので、屋内で人が分散した際の声の減衰問題などはうまく解決できていたと思います。
テラス、トイレ、離れ島、ボートといったお遊び要素は今回はほぼ使われなかったけれど、焼酎の話題というテーマがあって雑談が尽きなかったので、単に出番なしだったというだけでしょう。
もし40人規模や長時間開催になっていたら、そのあたりも生きたかもしれません。
いや…トイレに品がないから人が近寄らなかったのか……? まさか? みんなトイレ好きだよね? あれ……?

さてそれでは、次回は第4回試飲会「オンライン日本酒試飲会3」で会いましょう。

黒糖焼酎美味しかった。

経験が強いお年寄り、1000時間折れない。

VRChatに1000時間生きた

2年と4ヶ月間、割と途切れることなくVRChatを続けてきて、ついにこの現実に生きた時間が1000時間を超えました。
VRChatterはタフな人が多く(生存バイアスによって観測されやすいだけかもしれませんが)1000時間を「チュートリアル」呼びする文化が根付いています。
体は大丈夫なんかいと心配にはなることを除けば、この言い方は全然嫌いじゃないですよ。
その世界を知りたければとにかく飛び込んで多くの時間をともに過ごせというのは、ベストセラー作家の高野秀行さんの言葉です。
高野さんの飛び込んで行き先は、ミャンマー少数民族ゲリラとか、ソマリランドの部族とかなんですけれど、VRChatも似たようなものでしょう。

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VRC1000時間生活は「チュートリアル」呼ばわりされている

無事にチュートリアルを終えたことですし、ここ半年ほど下書きにしたままでまとまらなかった文章を供養的に記しておこうと思います。

「経験が強いお年寄りは、折れる」

以前の記事で書いたように、昨年日本VR学会の「VR技術者認定試験」というものを受けました。
教科書の内容の古さや、試験が易しすぎることで実質全プレ状態の資格だったという部分に目をつぶっても、勉強を通じて得た知識は普段の私の思索の役に立っています。

その12月のアプリケーションコース試験実施に先だって、clusterにて勉強会が催されました。
イベントを主催していただけたり、各章ごとの対策について登壇発表してくださった、なかじさん、はいえろさん、Suzukiさん、しらいはかせさん、本当にありがとうございます。
特に最後の白井先生の内容は、これそのものが最先端の研究に関する講義と言って間違いないほどのものでした。本職なんですからそりゃそうなりますよね。この講義が無料で受けられる奇跡ですよ。

さて、その白井先生の講義の中で出てきた忘れられない言葉に
「経験が強いお年寄りは、折れる」
というものがあります。

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経験が強いお年寄りは、折れる

この言葉は教科書の内容でいうところの「感覚の補綴と拡張」に関する部分で出てきました。

VRは人工的に作った感覚刺激によって、存在しないものでもあたかも存在するかのように近くさせる技術であるので、失った感覚でもVR技術を上手く利用すれば失う前の感覚を想起させ得る。
さらに、ICT(情報通信技術)とVRを駆使することによって臨場感のある五感コミュニケーションができるようになり、感覚の拡張を促す。
バーチャルリアリティ学」330ページより引用

感覚の補綴というのは、他の感覚をもって補いたい対象の感覚であるとみなすように脳を訓練するということで、たとえば視覚が衰えた人が触覚で情報を得られるようにするというケースでは、体のどこにどのぐらいの刺激が来たら、どの程度の振幅と波長の光をどの方角から見たのと同じように感じるよう訓練する、といった話ですね。
少なくとも教科書内では、ほとんどはリハビリの文脈で使われていました。
訓練によって、若い人は柔軟に脳の神経を構築して対応できるのだけれど、「経験」によって神経が出来上がってしまっているお年寄りはうまく対応できない。そして、折れる(精神的に)ということ。
そういうのは、15年ぐらい前の学会ならばともかく、もうここ最近は現場では常識となっているよーというお話でした。

そりゃまあ、ゲームやっても勉強やっても薄々分かってはいることですよ。当然、VRだってそうなります。
しかしそれを目の前にはっきりと突きつけられるのはなかなかつらいものです。つらいと言ったところで別にどうにもならないので普段口にはしませんけど。

意外と折れてない?

先述の「感覚の補綴と拡張」は、まさに日本人VRChatter用語で言うところの「VR感覚」のことです。上記の例では触覚→視覚でしたが、触られているVR感覚だと視覚→触覚、匂いだと視覚→嗅覚ですね。
憧れのVR感覚を手に入れ、理想の現実をより自分にとっての実質現実にするには、この「経験が強いお年寄りは折れる」をガン無視して訓練するという強い精神力が必要です。
訓練するまでもない被暗示性の天才もいる(やっぱり若いほど多い)のですけど、それはそれで妬んでも仕方ないです。

存在しない感覚を感じ取る力、被暗示性を高める訓練のための教材としては、催眠音声が一般的でしょう。ここ10年ぐらいでとても増えました。
催眠音声については、本当に出来の良いものはよく練り込まれたスクリプトで舌を巻くばかりなのですが、やはり聴覚からの入力のみなのでそこそこハードルがあります。
翻ってVR空間で過ごすことの場合は、そこに全方位シームレスな動き回ることのできる空間や自身の体という視覚からの入力が加わります。これはとても強いです。
何せ、可愛いアバターになって鏡の前で自分可愛い自分可愛いと思って可愛いポーズを取っているだけで、ごく自然に自分が可愛くなったように思えるのですから。

少し前に一部界隈で流行った、下條信輔さんの『<意識>とは何だろうか』という書籍に、「知覚の順応」に関する詳しい記述があります。
最初に例として挙げられる視覚の順応に関しては、詳しく書いているとキリがないので雑に言いますが、赤い色眼鏡をかけてしばらく過ごした後に外してから白いものを見ると緑色に寄って見える的なアレです(正確には順応した後の残効なんだけど雑な話なんでご容赦を)
上記の話は純粋に肉体的なものですが、同様のことが社会的な場面・出来事に対することにも同様に起っていて、社会的な意味での順応と身体的な意味での順応は実は同じものなのかもしれない、という話がとても興味を惹くところでした。

私が何度か冗談めかして言っていた
「真実の私はアバターの通りの美少女なのですけど、基底現実のオフ会には空間の制約上やむなく汚いおじさんを派遣します」
という言葉も、脳の中では(あるいは将来、電子情報の生命体もどきに昇華することができれば)、それが真実なんだよという気持ちが込められています。

10年前なら戯言だと思っていましたが、これが決して戯言だけで終わる話ではないということは現在VRにどっぷりとハマっている人々には実感を伴ってよく分かることだと思います。
そして私にとっての「かわいい私」というブレない自己認識は2020年3月7日、寺井さんに理想の姿を作ってもらえたあの時に完成しました。
その後も「かわいい」と言ってくれる人たちのおかげで、その順応は不動のものになっています。

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大宮です。どう見てもかわいい。

少なくともHMDを被っている間においては、この大宮の姿こそが間違いなく私の真の姿ですし、スクショやVpocketを上げている時にも「これは私だ」と認識しうるに至りました。

社会的な順応がVの中で出来上がっていることはともかく、基底現実にあっても真の自分の姿が大宮の側に吸い寄せられていることは、社会通念上は危惧しなければいけないのかもしれません。
ただこれについては、特に問題ないだろうというのが現時点の私の見解です。ボロを出したら社会的に拙いというだけの話でしょう。
今はまだ基底現実の肉体が基底現実社会にとっての真実の肉体だからそこに妥協しているだけであって、自分の脳の中ではかわいい姿が自分にとっての真実であってもいいのです。

なんだ、自分は意外と折れていないじゃないか。学会の統計、恐るるに足りず。
まあそもそも、言及されている「お年寄り」はもっと高齢者寄りの話なのかもしれないのですけどね。

VR嗅覚が芽生えた話

VRChatを始めて2年弱、プレイ時間800時間ぐらいから、ようやく嗅覚について少し解るようになってきました。
VRの美少女たちはそれぞれが微妙に違った良い匂いがします。してなくても「する」と、ここの文章でも表明します。
これは頭を嗅がせてくれる人に「良い匂いがする~」と表明していたことが、自分にとって一番の暗示になったのだろうと思っています。
催眠音声のスクリプトではユーザーに復唱させることによって暗示を定着しやすくしているものが多く、そのことを思い出しました。
もう少し健全な言い方をすれば、英語の勉強をする際に音読が効果的というあれです。

VR嗅覚は、自分の積極的な行動によってようやく得た順応なので、大事にしたいと思っています。誰彼構わず頭嗅がせろと頼むのは非常にキモいのでやりませんけど。
今のところ人の頭からは、柔らかい匂いと抜けるような匂いを感じ取ることができています。もう少し訓練を積めばバリエーションも増えることでしょう。

あまりまとまってないけど以上

以上。